大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋地方裁判所 昭和42年(ヨ)56号 判決

申請人 田口英明

〈ほか四名〉

右五名訴訟代理人弁護士 大矢和徳

同 原山剛三

被申請人 豊菱生コンクリート株式会社

右代表者代表取締役 新木信栄

右訴訟代理人弁護士 竹下伝吉

同 山田利輔

主文

一、申請人らが被申請人会社の従業員としての地位を有することを仮に定める。

二、被申請人は、申請人田口英明に対し金三、六四五円、申請人鎌田勲に対し金四、〇〇九円、申請人木村富康に対し金五、五四四円、申請人小野義隆に対し金二、九二七円、申請人東辰弘に対し金三、九四八円をそれぞれ仮に支払え。

三、被申請人は、昭和四一年一二月二六日から本案判決確定にいたるまで毎月五日限り申請人田口英明に対しては一ヵ月金四三、五七五円、申請人鎌田勲に対しては一ヵ月金四二、七〇九円、申請人木村富康に対しては一ヵ月金四四、六九四円、申請人小野義隆に対しては一ヵ月金五〇、七一七円、申請人東辰弘に対しては一ヵ月金三五、二六八円の割合による金員をそれぞれ仮に支払え。

四、訴訟費用は被申請人の負担とする。

事実

≪省略≫

理由

一、被申請人が生コンクリートの製造販売を目的とする株式会社であり、申請人らがいずれも被申請人会社の従業員として自動車運転、生コンクリート製造等の業務に従事していたこと、申請人らによって「菱友会」が結成され同会より被申請人会社に対し残業手当の二割五分増支給、住宅手当、無事故手当の支給、失業保険制度への加入等の労働条件の改善に関する要求があったこと、被申請人会社従業員らによって「豊友会」と称する親睦団体が結成されたこと、申請人ら主張の日時頃前記「菱友会」より被申請人会社に対し年末一時金として一律に五〇、〇〇〇円の支払を要求し被申請人会社が一応これを拒否したこと、申請人らが昭和四一年一二月一六日名古屋法務局岡崎支局に対して、被申請人会社では、労働基準法を無視し従業員に時間外労働を強要しているとか、残業、深夜労働が非常に多く時間外手当を法規どおり支払われていない等と申告したこと、申請人鎌田が昭和四一年一二月一八日夜被申請人会社社宅で同社従業員申請外伊知地正男に対し暴行を加えたこと、申請人鎌田が中日新聞の記者に対し、被申請人会社ではダンプカー等の仕事量をふやすため道交法違反が発覚してもその罰金の一部を会社が負担する旨提唱してダンプカー等に制限重量以上の荷を積載するよう仕向けている等と話し、その内容が右新聞に報道されたこと、申請人田口が毎日新聞の記者に対し、被申請人会社では社長自ら土砂採取現場に立ちダンプカーの積載量が少ないと運転手らを首にするといって一〇トン車に一五トンの重量を積載させたりあるいは安全運転をした者に「もっと速く走れ」等とけしかけている旨話し、その内容が右新聞に報道されたこと、申請人東が朝日新聞の記者に対し、被申請人会社では時速五〇キロ以下の安全運転をした運転手を社長が叱責したりあるいはダンプカーは勿論ミキサー車でも七トン車に八トン以上の重量を積載させるのが普通である等と話し、その内容が右新聞に報道されたこと、被申請人が申請人ら主張の日時頃申請人らのタイムカードを引上げたこと、被申請人が昭和四一年一二月一六日申請人らに対し被申請人会社工場長園田道夫を通じ口頭で申請人らをいずれも解雇する旨の意思表示をしたこと、被申請人の主張するような内容の各供託がなされたこと、被申請人が申請人ら各人に毎月五日限り賃金を支給していたことはいずれも当事者間に争いがない。

二、そこで本件解雇の意思表示の効力について判断する。

(1)  前記当事者間に争いのない事実及び≪証拠省略≫を総合すれば、次の事実が疎明される。

即ち申請人田口、同鎌田、同東はいずれも被申請人会社のミキサー車の運転手として、申請人小野、同木村はいずれも被申請人会社の生コンクリート製造工として、それぞれ本件解雇当時まで同社で稼働していたものであるが、申請人らは、昭和四一年一〇月初め頃から被申請人会社に対し年末一時金として一律に五〇、〇〇〇円を支給するよう要求し、同年一一月三〇日会社にその旨の要求書を提出して同年一二月三日にとりあえず交渉の機会をもつよう要請した。そして申請人らは同日会社側の園田工場長及び社長の息子の新木正夫らと年末一時金について話し合いをしたが、会社側は短時間で右交渉を打ち切り、同月六日にも同様交渉を重ねたが、この日も会社側は申請人らに対し年末一時金の支給を確約するまでに至らなかった。更に同月一三日午後申請人らが再度園田工場長及び新木正夫のところまで交渉に出かけたところ、同人らは、同月一五日に日本工業規格の審査があるため、それが済むまで会社は準備等で多忙であるから、右審査後の同月一六日に再度話し合いをしたいということであった。そこで申請人らは、翌一四日も早朝から集まって年末一時金闘争について相談しなお会社側と交渉する機会を窺うことに決めた。ところで同月一四日早朝、前記新木正夫が申請人鎌田方まで来て、ボーナスを皆に支給するから仕事につくように話した。そこで被申請人会社の従業員三〇名位が集まって会社側の出方を待っていたところ、被申請人会社社長自身がボーナスの支給に強硬に反対したため、結局右新木正夫のボーナスの話はその時実現しなかった。そのため当日ボーナスが出るものと期待していた申請人ら従業員約二七名は、気勢を殺がれ、個々に当日の就労を拒否し仕事に付かなかった。ところで申請人らが翌一五日朝職場に出勤したところ、前日就労を拒否した申請人ら従業員二〇数名のタイムカードが引上げられていて、社長自身が申請人らの社内立入り及び就労を拒否する態度をみせたので、申請人らは結局同日も就労しなかった。一方被申請人会社では同日は日本工業規格の審査日にあたり、通産省から被申請人会社へ試験官が訪れ、被申請人会社備え付けの書類、プラント材料を量る秤及びコンクリートの品質の各検査が行われ、被申請人会社は後日右審査に合格した。申請人ら従業員九名は翌一六日朝就労の意思で会社に集まったが、同日もなお仕事を与えられなかったので園田工場長の許に掛合いに行ったところ、同人から口頭で右九名をいずれも解雇する旨言渡された。その際申請人らは園田工場長に解雇理由を尋ねたが同人からその説明がなく、またかねて被申請人会社では、ダンプカー等に制限以上の荷を積載することを黙認しており積載量違反の罰金も会社側が支払っていたこと、被申請人会社では歩合制、日給制の賃金体系をとっていたが、従来時間外深夜勤務の割増賃金を法規どおり支払っていなかったことそのため労働基準監督署から注意を受けていたこと、また時間外勤務や深夜労働が比較的多く失業保険制度にも加入していなかったこと等労働条件に種々不備な事情があったので、申請人田口、同鎌田、同小野、同東らは、被申請人会社の右解雇の仕打やそうした不備な労働条件の実情を打明け取締って貰うつもりで、同日夜警察まで訴えて出た。ところが偶々その前日猿投町でダンプカーにより大きな死亡事故が発生していた事情もあって、同日警察に朝日、毎日、中日らの新聞記者が取材に来ていたため、右各新聞記者らが申請人らの訴えを聞き、ダンプカー運転手等の労働条件やその使用者に対する規制、取締の強化が改めて問題とされている折から、申請人らの話を好材料として取り上げ、被申請人会社ではダンプカー等の仕事量をふやすため社長自ら土砂採取現場に立ち土砂の積載量が少ないと運転手を首にすると言ったり、あるいは時速五〇キロ以下の安全運転をした運転手を叱責したり、道交法違反が発覚してもその罰金の一部を会社が負担する旨提唱し運転手らに制限重量以上の荷を積載させるよう仕向けている等被申請人会社の労働条件の不備な事情を翌日の新聞に報道した。また申請人田口、同鎌田、同木村、同東らは同日夜更に法務局岡崎支局に赴き被申請人会社では労働基準法を無視し従業員に時間外労働を強要しているとか、残業、深夜労働が比較的多く時間外手当も法規どおり支払われていない等同じく被申請人会社の労働条件の不備を申告した。

申請人鎌田は同月一八日夜被申請人会社従業員申請外伊知地正男が自己を中傷するようなことをいったと聞き、多少酒を飲んでいたこともあって憤慨し、右伊知地の私室に行き、同人と言い争っている間に同人を一回殴打した。そのため申請人鎌田は警察で取調を受けた。

他方被申請人会社社長は前記各新聞の報道に激怒し、同月二〇日申請人らを含む九名を社長宅に呼び付け、新聞報道や暴行の事実等解雇理由を示し改めて右九名を懲戒解雇する旨の意思表示をした。

以上の事実が疎明され(る。)≪証拠判断省略≫

(2)  そこでまず被申請人の主張第一項の解雇理由について考察する。

なるほど前記(1)認定の事実によれば、申請人らが被申請人会社に対し年末一時金五〇、〇〇〇円の支給を要求し昭和四一年一二月三日、六日、一三日と多少執拗に交渉を求めたこと、申請人らが同月一五日被申請人会社の日本工業規格の審査日にあたることを知りながら就労しなかったことはいずれも明らかであり、また証人新木正夫の証言によれば、申請人鎌田、同田口らが夜間年末一時金の話し合いに社長宅を訪問した事実も認められないではない。

しかしながら申請人らが被申請人会社に対し年末賞与五〇、〇〇〇円を要求し会社の幹部と交渉をもつこと自体は許された行為であって何等解雇理由を構成するものではなく、またその年末一時金要求の手段も、たかだか夜間に社長宅を訪問し話し合いを求めた程度であれば、特に違法不当な手段に訴えたものというほどのことでもなく、その他申請人らが年末一時金の支給を不当に強く要求し被申請人側と強談するといった不穏な行動に及んだ事実は、本件全疎明によるもこれを認めることができない。

また前記(1)認定の事実によれば、申請人らが昭和四一年一二月一五日日本工業規格の審査日にあたり就労しなかったのも、被申請人会社が同日朝申請人ら従業員二〇数名のタイムカードを引上げ申請人らの就労を拒否する態度にでたことに原因があったと考えられ、また同日の検査は会社備え付けの書類やプラント材料を量る秤及びコンクリートの品質について行われたものであり、申請人らはミキサー車の運転手ないしは生コンクリート製造工であるから、申請人らが当日就労しなくても格別右検査に支障を来たすものとは考えられず、現に被申請人会社ではさしたる障害もなく右審査に合格していること等の事情を勘案すれば、当日申請人らが就労しなかったことにより右審査が妨害され被申請人会社の業務に悪影響を及ぼしたものとみるのは困難である。

そうだとすれば被申請人の主張第一項の解雇理由は、いずれもその主張事実の疎明がないことに帰するので、同項の事由を理由とする解雇は無効といわなければならない。

(3)  次に被申請人の主張第二項の懲戒解雇理由について考察する。

前記(1)認定の事実によれば、昭和四一年一二月一六日申請人らが園田工場長より解雇の通告を受け警察及び法務局岡崎支局まで被申請人会社の労働条件の実態や解雇の仕打等を訴えて出たこと、偶々その前日猿投町でダンプカーにより大きな死亡事故が発生したためその頃警察署に取材に来ていた各社の新聞記者らが申請人らの話を聞きそれを翌日の新聞に報道したこと、被申請人会社社長が右報道に腹を立て同月二〇日申請人らを呼びつけ改めて申請人ら各人に懲戒解雇を言渡したことはいずれも明らかであり、また申請人鎌田勲本人尋問の結果によれば、前記各新聞の報道が多少事実を誇張して伝えていたことも窺われるが、他方被申請人会社では、ダンプカー等に制限以上の荷を積載するのを黙認しており、積載量違反の罰金も会社側が支払っていたこと、時間外深夜勤務の割増賃金を法規どおり支払っていなかったので労働基準監督署から注意を受けていたこと、時間外勤務や深夜労働が比較的多く失業保険制度にも加入していなかったこと等被申請人会社の労働条件の実態は必ずしも良くなかったのが実情であり、しかも申請人らが警察署や法務局岡崎支局まで直訴に及んだのは、前記(2)の判断で示した如く理由なく解雇の言渡を受けた直後のことであるから、申請人らが被申請人会社の内情を訴えるにあたり多少感情に走って表現がオーバーになったとしても、それ自体無理からぬこととも考えられ、また何よりも本件の新聞報道の実状は、申請人らが被申請人会社の労働事情を積極的に新聞に報道させる意図で新聞記者に伝えたものではなく、偶々前日猿投町でダンプカーにより大きな死亡事故が発生したため丁度その頃新聞記者らが警察署まで取材に来ていたことから、申請人らが警察に訴えた内容を時局がら好材料として取上げ翌日の新聞に報道したのが事の真相であって、申請人らが本件のように警察や法務局に被申請人会社の労働条件の改善や解雇の実情を訴えて出ること自体何ら咎むべき筋合のものではないから、右のような偶然の事態から発展し被申請人会社に不利な内情が多少誇張され各新聞に報道されたとしても、そのことをもって直ちに申請人らが故意または重大な過失により重大な社損を醸し又は著しく会社の信用を失墜させたもの(被申請人会社就業規則第四八条第一五号)と解することはできないものといわなければならない。

また前記(1)認定の事実によれば、申請人鎌田が同月一八日夜酒に酔って被申請人会社従業員伊知地正男方を訪ずれ同人を一回殴打したことは明らかであるが、他方右暴行の事実は極めて軽微な事由であり、しかもそれは申請人鎌田と右伊知地間の個人的な感情のもつれがその原因であって、被申請人会社の業務時間外に会社事業場外の伊知地の私室で発生した事柄であるから、被申請人会社の業務と直接関連のない事由とみるべきである。そうだとすれば右暴行は被申請人の主張する「事業場内で賭博、暴行その他これに類する行為を行なったとき」(被申請人会社就業規則第四八条第一三号)には該当しないものといわなければならない。

以上の説明によれば、被申請人の主張第二項の懲戒解雇事由は、いずれも就業規則の各条項に該当しないので、被申請人会社就業規則自体の効力の有無を判断するまでもなく、本件懲戒解雇は無効といわなければならない。

(4)  最後に被申請人の主張第三項について判断する。

被申請人は、申請人らは被申請人より供託された解雇予告手当を各々受領しているので、特別の事情のない限り右解雇予告手当の受領により本件解雇を承認したものであると主張する。

然しながら、前記当事者間に争いのない事実及び≪証拠省略≫によれば、被申請人会社が昭和四二年一月一〇日解雇予告手当として申請人田口のために金三九、九三〇円、申請人鎌田のために金三八、七〇〇円、申請人木村のために金三九、一五〇円、申請人小野のために金四七、七九〇円、申請人東のために金三一、三二〇円をいずれも法務局に供託したこと、申請人らが右各金員を未払賃金の一部に充当する趣旨で各々受領し被申請人までその旨内容証明郵便で通知したことが疎明される。

右認定の事実によれば、申請人らは右各供託金を解雇予告手当として受領したわけではなく、未払賃金の一部に充当する趣旨で、しかもその意思を被申請人まで明示して受領していることは明らかであるから、結局右供託金の受領により申請人らが本件解雇を承認したものとはいえず、被申請人の右主張もまた理由がない。

(5)  以上の説明によれば本件即時解雇ないし懲戒解雇は不当労働行為その他の主張について判断するまでもなくいずれも無効であるから、申請人らと被申請人会社との間には依然雇傭関係が存続し、申請人らは被申請人会社に対しいずれも雇傭契約上の権利を有するものといわなければならない。

三、ところで前記当事者間に争いのない事実及び≪証拠省略≫によれば、申請人らが本件解雇前被申請人会社より一ヵ月間の平均賃金(昭和四一年五月二六日から同年一一月二五日まで六ヵ月間の平均)として、申請人田口は金四三、五七五円、申請人鎌田は金四二、七〇九円、申請人木村は金四四、六九四円、申請人小野は金五〇、七一七円、申請人東は金三五、二六八円の各金員を、昭和四一年一一月二五日まで毎月五日限りそれぞれ支給されていたことが疎明される。

また被申請人が申請人らのため昭和四二年一月一〇日解雇予告手当金として前項(4)の金額をいずれも供託したことその後申請人らが右供託金を未払賃金の一部に充当する趣旨でいずれも受領したことは前記認定のとおりであるが、被申請人は右各解雇予告手当金の供託に際し、それらを予備的に未払賃金の一部として供託する意見を有していたものと解すべきであるから、申請人らが前項(4)の金額に相当する右供託金を受領した限度において、それぞれ未払賃金の一部の受領があったものとみるべきである。

従って申請人らは被申請人に対し、昭和四一年一一月二六日から同年一二月二五日までの一ヵ月間の賃金(前記認定の各平均賃金)から前項(4)の金額に相当する賃金を差し引いた残額即ち申請人田口は金三、六四五円、申請人鎌田は金四、〇〇九円、申請人木村は金五、五四四円、申請人小野は金二、九二七円、申請人東は金三、九四八円の各賃金請求権及び本件解雇の意思表示がなされた後の日である昭和四一年一二月二六日以降毎月五日限り一ヵ月いずれも前記認定の各平均賃金の割合による賃金請求権をそれぞれ有するものといわなければならない。

四、そこで本件仮処分申請の保全の必要性について判断する。

≪証拠省略≫ を総合すれば、申請人らは本件解雇当時いずれも被申請人会社の従業員であったところ、被申請人は本件解雇の意思表示をなした昭和四一年一二月一六日以降申請人らを被申請人会社の従業員として取扱わず、かつその後も賃金の支払を拒んでいること、申請人らはいずれも解雇を受けるまで被申請人会社から受ける右賃金を唯一の生活の資としてきた労働者であることが認められる。被申請人は申請人鎌田、同田口、同小野の三名は昭和四一年一二月から豊田市落合町の矢作建材店に日給二、〇〇〇円の定めで就職し、少く見積っても各人が一ヵ月三〇、〇〇〇円宛の給料の支給を受けており、その他の申請人らについても現在は戦後の一時期のような就職難の時代と異なりいわば人手不足、労働力不足の時代であって、特に申請人ら自動車運転手については真実働く意思さえあれば収入の良い働き口は他にあり余るほどあると主張するが、被申請人の全疎明によるも、申請人らが生活に不安の少い資を継続的に得ていることは認められない。従って申請人らは被申請人会社から賃金の支給を絶たれた後はいずれも生活に困っているものと推認できる。

よって申請人らは本案判決を待っていては著しい損害を受ける虞があるからこれを避けるため本件仮処分を求める必要性があるものというべきである。

五、以上の次第で本件仮処分申請は申請人らがいずれも被申請人会社の従業員としての地位を有することを仮に定めかつ被申請人会社に対し、申請人田口が金三、六四五円、申請人鎌田が金四、〇〇九円、申請人木村が金五、五四四円、申請人小野が金二、九二七円、申請人東が金三、九四八円の各金員の支払及び昭和四一年一二月二六日から毎月五日限り申請人田口において一ヵ月金四三、五七五円、申請人鎌田において一ヵ月金四二、七〇九円、申請人木村において一ヵ月金四四、六九四円、申請人小野において一ヵ月金五〇、七一七円、申請人東において一ヵ月金三五、二六八円の割合による金員の支払を求める限度において理由があるから、いずれも保証を立てさせないでこれを認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 西川力一 裁判官 片山欽司 豊永格)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例